Cakes連載『新・山形月報!』

経済、文学、コンピュータなどの多方面で八面六臂の活躍をする山形浩生さん。その山形さんが月に一度、読んだ本、気になる現象について読者にお届けする密度の濃いレポートです。

九龍城塞・スマートシティ・民主主義

復活も一時の思いつきかと言われていた「新・山形月報!」、さすがに2回目くらいは続く模様。今回は香港の魔窟と言われた九龍城砦をめぐる本とスマートシティ、さらにはプーチンの戦争と民主主義についてあれやこれや。さて、どんな話になるでしょうか! 以…

神殺し・社会主義モダニズム・ウクライナ

なぜかいきなり復活した「新・山形月報!」、今回はバルガス=ジョサ『ガルシア=マルケス論:神殺しの物語』、『ソビエトアジアの建築物』、小泉悠『ウクライナ戦争』です! 半世紀ぶりに刊行された幻の名著にリアルタイムの戦争分析と社会主義モダニズム建…

才能、意識、そして読書

2022年7月28日 「新・山形月報!」、今回は高野文子『黄色い本』、マシュー・サイド『才能の科学』、谷淳『ロボットに心は生まれるか』などを取り上げ、考えることと読書をめぐって綴ります。そして、今回がついに最終回なんです。お名残惜しいけど、さよう…

小説の値打ちと脱成長論の愚をめぐって

2022年6月24日 「新・山形月報!」、今回はまだ最終回ではないはずです!? 取り上げられたのは、リチャード・フラナガン、トマス・ピンチョン、ドン・デリーロ、バルガス・ジョサ、マーク・トウェインなどの作品……。さらにマイケル・ヤングの『メリトクラシー…

プーチン本はどれを読むべき?

2022年5月26日 今回は、ウクライナ侵攻で世界の注目を集めるロシアのプーチン大統領に関連する書籍を解説! 『プーチン、自らを語る』『プーチンの世界』『ウラジーミル・プーチンの大戦略』、そしてウラジーミル・ソローキンの『親衛隊士の日』!? ぜひお読…

侵攻の背後に見え隠れするロシアの思想、軍事、エネルギーと環境問題

2022年4月28日 共訳書であるヨハン・ノルベリ『OPEN(オープン)』(NewsPicksパブリッシング)が発売目前の山形浩生さんによる書評連載「新・山形月報!」。今回は、ウクライナ侵攻を踏まえて、イワン・クラステフらの『模倣の罠』やティモシー・スナイダー…

エレクトロニクス・やる気・ロシアコスミズム

2021年12月22日 年内最後の「新・山形月報!」。取り上げるのは、『ギャル電とつくる! バイブステンアゲサイバーパンク光り物電子工作』、藤原麻里菜『無駄なマシーンを発明しよう!』『無駄なことを続けるために』、ルスタム・カーツ『ソヴィエト・ファン…

呉智英・マイコン・デジタル庁

2021年9月15日 今回の月報は、封建主義者・呉智英の新刊『バカに唾をかけろ』を論じ、次にコンピュータ・インターネットに関連する、鈴木哲哉『ザイログZ80伝説』、秋田純一『揚げて炙ってわかるコンピュータのしくみ』、村井純・竹中直純『DX時代に考える …

三体・スペースコロニー・サラ金

2021年7月27日 「新・山形月報!」、今回もキューバで山形さんが読んだ本についてお届け! 話題の劉慈欣『三体』シリーズ(早川書房)、そしてJ・D・バナール『宇宙、肉体、悪魔 新版』(みすず書房)、小島庸平『サラ金の歴史』(中公新書)を論じます。 キ…

キューバ・『一般理論』・外国人労働者

2021年7月5日 大変お久しぶりの「新・山形月報!」。今回はキューバから、大野一訳のケインズ『雇用、金利、通貨の一般理論』を皮切りに、安田峰俊『「低度」外国人材』やカルラ・スアレス『ハバナ零年』などのレビューをお届けします! おひさしぶり。 これ…

消えゆく色町、移ろう異界

2020年7月22日 今回は、関根虎洸『遊郭に泊まる』(新潮社)、木村聡『色街百景』(彩流社)、藤井誠二『沖縄アンダーグラウンド』(講談社)、本橋信宏『東京最後の異界 鶯谷』(宝島SUGOI文庫)、八木澤高明『青線』(集英社文庫)など、日本国内の思わぬ…

中国の奥へ、地中海の歴史へ

2020年7月15日 今回の「新・山形月報!」は、安田峰俊『さいはての中国』『もっとさいはての中国』(ともに小学館新書)や『八九六四』(KADOKAWA)を取り上げ、さらにはフェルナン・ブローデルの大著『地中海〈普及版〉』(藤原書店、1~5巻)とその関連書…

チョンキンマンションと現代ニッポン

2020年7月8日 大宅壮一ノンフィクション賞と河合隼雄学芸賞を受賞した、小川さやかの話題作『チョンキンマンションのボスは知っている』(春秋社)。今回の「新・山形月報!」は、本書を徹底読解します。重慶大厦から日本へ目を転じると、何が見えてくるので…

ナチスのオカルト研究所と隕石仏像

2020年6月1日 前回に続いて、今回もナチス関連書籍を徹底レビュー。ミヒャエル・H・カーター『SS先史遺産研究所アーネンエルベ』(ヒカルランド)、浜本隆志『ナチスと隕石仏像』(集英社新書)を取り上げます。どちらもSS(親衛隊)のオカルト的な側面に大…

ナチス軍需相とヒトラーお抱え映画監督の虚実

2020年5月28日 今回と次回、「新・山形月報!」はナチス関連の書籍を紹介。今回は、アルベルト・シュペーア『ナチス軍需相の証言』(中公文庫、上下)、アダム・トゥーズ『ナチス 破壊の経済』(みすず書房、上下)、スティーヴン・バック『レニ・リーフェン…

コロナを前にしたインテリの自己矛盾

2020年5月7日 本当にお久しぶりに「新・山形月報!」がカムバック! 今回は、話題作『コロナの時代の僕ら』に象徴される議論を批判的に検討。そして、『労働者の味方をやめた世界の左派政党』と『図書館巡礼』を紹介します。 事態が急激に変わるとき、人がお…

子宮頸がんワクチン副作用とマスコミの役割

2017年12月11日 今回の「新・山形月報!」は、本のレビューの前に、村中璃子医師のジョン・マドックス賞受賞と、それに大きく関連するマスコミ報道などについて論じます。そして、キャス・サンスティーン『命の価値』(勁草書房)、ロビン・ダンバー『人類進…

宗教集団・寛容・図書館大戦争

2017年11月20日 今回の「新・山形月報!」は、リチャード・T・シェーファー、ウィリアム・W・ゼルナー『脱文明のユートピアを求めて』(筑摩書房)と、ミハイル・エリザーロフ『図書館大戦争』(河出書房新社)を論じます。アメリカのマイノリティ集団を描い…

道徳感情・SF的アイデア・フランケンシュタイン

2017年10月19日 今回の「新・山形月報!」は、管賀江留郎『道徳感情はなぜ人を誤らせるのか』(洋泉社)、バリントン・J・ベイリー『ゴッド・ガン』、ハーラン・エリスン『ヒトラーの描いた薔薇』(ともにハヤカワ文庫SF)、藤井太洋『公正的戦闘規範』(ハ…

反脆弱性・歩く・マネーマーケット

2017年8月28日 お久しぶりの「新・山形月報!」、今回はナシーム・ニコラス・タレブ『反脆弱性』『ブラック・スワン』(ともにダイヤモンド社、上下)を中心に、キャス・サンスティーン『最悪のシナリオ』(みすず書房)、レベッカ・ソルニット『ウォークス…

中国経済・ヘリコプターマネー・ラテンアメリカ文学

2016年12月19日 年内最後の「新・山形月報!」もボリュームたっぷり! 高須正和ほか『メイカーズのエコシステム』(インプレスR&D)、高口康太『なぜ、習近平は激怒したのか』(祥伝社新書)、梶谷懐『日本と中国経済』(ちくま新書)、伊藤亜聖『現代中国の…

ナボコフ・美文・遠読

2016年9月20日 お久しぶりの「新・山形月報!」は、最近出たナボコフの関連書籍を徹底解説! 主に取り上げるのは、ウラジーミル・ナボコフ『記憶よ、語れ』、『見てごらん道化師を!』、『ナボコフの塊』(すべて作品社)、フランコ・モレッティ『遠読――〈世…

キューバ危機・組織論・決定の本質

2016年5月20日 今回の「新・山形月報!」は、グレアム・アリソン(&フィリップ・ゼリコウ)『決定の本質』(日経BP社、Ⅰ~Ⅱ)を徹底レビューします。組織論の名著とされる本書の読みどころはもちろんのこと、初版と第2版の違いから考えるポイントなどもきっ…

日本人の起源・大航海・ビーグル号

2016年3月9日 今回の「新・山形月報!」は、日本人の起源を探る大胆な一冊、海部陽介『日本人はどこから来たのか?』(文藝春秋)を皮切りに、トール・ヘイエルダール『コン・ティキ号探検記』(河出文庫)とチャールズ・ダーウィン『ビーグル号航海記』(平…

ランチ・産業革命・1960年代

2016年2月17日 今回の「新・山形月報!」は、タイラー・コーエン『エコノミストの昼ごはん』(作品社)と山本義隆『私の1960年代』(金曜日)の二冊を中心に、アラン・マクファーレン『イギリスと日本』(新曜社)や、E・L・ジョーンズ『ヨーロッパの奇跡』…

太平天国・世界史・ケイパビリティ

2016年1月27日 2016年最初の「新・山形月報!」は、マクニールの『世界史』読み比べがメインです。ウィリアム・H・マクニール『世界史』(中公文庫、上下)とウィリ アム・H.・マクニール、ジョン・R・マクニール『世界史』(楽工社、Ⅰ・Ⅱ)の読みどころは!…

宇宙基地・ステーキ・新々貿易理論

2015年12月24日 2015年最後の「新・山形月報!」は、経済から宇宙まで幅広い本をご紹介。ラルフ・ミレーブズ『バイコヌール宇宙基地の廃墟』(三才ブックス)、マーク・シャッカー『ステーキ!』(中公文庫)、ジョン・V. グッターグ『Python言語によるプロ…

ムハンマド伝・監獄実験・時間術

2015年12月11日 お久しぶりの「新・山形月報!」は、『預言者ムハンマド伝』(岩波書店、1~4)、フィリップ・ジンバルドー『ルシファー・エフェクト』(海と月社)と『迷いの晴れる時間術』(ポプラ社)を中心とした書評です。ごっつい大著を山形さんはどう…

大分岐・石炭・世界経済史

2015年9月11日 今回の「新・山形月報!」は、ケネス・ポメランツ『大分岐』(名古屋大学出版会)、アンガス・マディソン『世界経済史概観 起源1年~2030年』(岩波書店)の2冊を中心にがっつりと論じます。歴史的な視野で文明を見渡す大著の読み解きをご一読…

格差・遺伝・IQテスト

2015年8月10日 今回の「新・山形月報!」は、グレゴリー・クラーク『格差の世界経済史』(日経BP社)、ジェームズ・フリン『なぜ人類のIQは上がり続けているのか』(太田出版)、アンガス・ディートン『大脱出』(みすず書房)の3冊を集中的に論じます。教育…